大きな目に大きな耳。しなやかなボディーに、長い足と長いシッポ。頭がよく、人にもよくなつき、甘えるときの鳴き声は鈴をころがしたような愛くるしさ。それでいて敏捷性に優れ、疾走する姿は野生そのもの・・・。
アビシニアンの先祖は、世界でもっとも早く人間に飼い慣らされた猫と言われるが、今のアビシニアンを見ていてもその理由はよくわかる。まさに、猫らしい猫。人間が猫に求める魅力のすべてを持った猫である。
アビシニアンの原産はエチオピアとされている。その名称もエチオピアの古い国名である「アビシニア」からきている。
古代エジプトの壁画や彫刻には数多くの猫が描かれているが、その姿形は現在のアビシニアンによく似ており、「クレオパトラに飼われた猫」などと言われることもある。ことの真偽は定かではないが、アビシニアンの先祖が人間と生活を共にしていたのは確かで、長い共生の歴史を持っている。
現在のアビシニアンに繋がるルーツは、1863年のアビシニア戦争でイギリス兵がアビシニアから持ち帰った猫であると言われている。その後、アメリカにも持ち込まれ、 英米両国の愛猫家の間でそれぞれ改良が重ねられ、現在のアビシニアンになった。
アビシニアンは中型の猫で、なだらかな曲線を描く、しなやかで美しいボディラインが魅力だ。四肢はほっそりと長い。尾も胴に匹敵する長さを持っており、表情豊かに打ち振る姿が愛らしい。引き締まった筋肉をしており、その立ち姿は威厳と優雅さを兼ね備えている。
被毛は毛の1本1本が短く細く、手触りはビロードのよう。公認の色はこげ茶のルディ、オレンジブラウンのレッド(ソレル)、青灰色のブルー、ピンク系のフォーンの4種。いずれも1本の毛が、根本から先端までの間でいくつかの色に分かれており、照明などによって色は微妙に変化して見える。
アビシニアンの動き回る姿は、小さなヒョウを思わせるほど野生的だ。それでいて人によくなつき、撫でられたり抱かれたり、遊んでもらったりすることが大好きで、いつも人間のそばにいたがる甘えん坊なところがある。頭がよくて人の声にもよく反応し、非常に飼いやすい猫と言えるだろう。人によくなつき、遊んでもらうのが大好き。普段はあまり鳴かないが、甘えるときはとびきりの美声を発する。