純血種のネコの中では、わりに最近公認されたのが、このシンガプーラだ。
以前からシンガポールの街角で時折見かけられてはいたものの、誰もその存在に興味を持たなかったため、いったいどこから来て、いつ頃から住み着いたのかなど、起源についてはほとんどわからない。
1972年、以前からこの地に象牙色の毛色をした大きな瞳のネコがいるという噂を聞いていた、とあるアメリカ人夫妻が、シンガポールに赴任してきた。もともとネコに大変興味のあった夫妻は、シンガポールに着くと、さっそく噂のネコを探しに町中を歩き回った。そして、ついに生後1カ月くらいの1匹の子猫を発見した。
3年後、夫妻は再びアメリカに帰ることになったが、そのころにはネコの数は5匹増えていた。
こうしてアメリカに渡ったシンガプーラは、夫妻の努力によって各地のキャットショーに新種として出展された。シンガプーラの存在は徐々に知られるようになり、1979年にはもっとも小さい純血種として公認された。
現在、その数は少しずつ増えているものの、まだまだ珍しい猫種として注目を集めている。
公認されている猫種の中では最小で、オスは成長しても2㎏に満たない。しかし小型ながら筋肉質で、細身のバランスのとれたプロポーションをしている。頭も小さく、やや尖った大きな耳と大きな目が特徴。被毛は濃い茶色、アイボリー、それにシールセピアと呼ばれる微妙な3色が美しく混じっている。
おとなしく優しいネコだが、好奇心も旺盛で、知らない人でも進んで受け入れる。また飼い主に忠実で、どこにでもついて歩く。