名前のシャムとは現在のタイの旧国名からきている。たいへん歴史の古いネコで、昔の絵画にも、耳、顔、足先、尾は黒く、ボディはクリーム色で描かれたネコの絵がいくつか残っている。
そもそもタイには3種のネコが存在しており、そのひとつがシャムで、ほかにシ・サワット(現在のコラット)と、スパラック(おそらく現在のバーミーズ、ハバナブラウンの先祖)がいた。当時、あとの2種類は庶民的なネコだったのに対し、シャムだけは王宮内や大きな寺でのみ飼われ、大切な秘宝とされていた。
1884年にイギリスの総領事官だったゴールド氏が、王宮から一対のシャムをプレゼントされたのが世界に広まるきっかけとなった。また同じ頃、アメリカの外交官にもプレゼントされたが、この頃はまだ限られた人たちだけが手にすることができる、貴重な存在だったといえる。
翌1885年、イギリスに渡ったシャムは、ロンドンのクリスタルパレスで開かれたキャットショーに初めて参加。それ以降、繁殖が行なわれ世界各国に広まっていったとされている。
最大の特徴はポインテッドといわれているもので、耳、顔、足先、尾が濃色になっていること。また、オリエンタルタイプと呼ばれる体型をしており、ボディも足も尾も、すべて長くすらっとしている。頭部はくさび形で、耳が非常に大きく、目の色は必ずサファイアブルーとなっている。
ネコ界の女王とも呼ばれており、その性格はほかのネコと比べるとかなり際立っている。非常になつきやすいタイプで、とても賢く、愛情深い。おしゃべりが好きで、いつも飼い主のそばで話しかけている。しかし自己顕示欲も強く、時として急に攻撃的になったりもする。