何世紀ものあいだ、スコットランドの沿岸から離れたシェットランド諸島で羊の群を追いかけてきた犬、それがシェットランド・シープドッグである。
外見はコリーに似ているため間違えられることが多いが、よく見ればコリーよりかなり小さく、顔立ちや全体のバランスなども異なる。
とはいえ、この犬の祖先はコリーと同様、スコットランドのボーダー・コリーと考えられている。ボーダー・コリーのツールをさかのぼると、はっきりとした年代は不明だが、北海の捕鯨船の漁師によって持ち込まれたスコティッシュ・ラフ・コリーかアイスランディク・ヤッキーがもとになったといわれている。
シェットランド諸島の自然は大変厳しく、島のほとんどは岩だらけで、そこにいる動物の多くは体が小さい。かつてこの島に連れて来られた犬もまた、この島の環境に順応して小さくなったということは十分考えられる。
シェットランド・シープドッグの原種がイギリスに紹介されたのは、19世紀末。その後、イギリス、スコットランドでコリーとの異種交配が行なわれ、現在のスタンダードが誕生した。 日本では戦前に若干紹介されたものの、本格的に輸入が始まったのはやはり戦後。1957年に第一陣が上陸、1960年あたりから人気が高まり、今ではすっかりおなじみのポピュラー犬となっている。
ミニチュア・コリーに非常に似ているため、よく間違われる。鼻筋が通った知性的な顔。日本の住宅事情に適した体の大きさだ。
とても賢く、学習能力に優れ、人の気持ちを察して行動をとることができる。飼い主に忠実で、愛情深い。また、見知らぬ人に対しては警戒心を見せるので、番犬向きでもある。
食事は1日1~2回。子犬ならドライフード190g、成犬なら150gが目安だ。ただし置きエサにせず、ある程度時間をあけて与えるようにしないと、キチンとエサを食べない癖がつくので注意が必要だ。
基本的にはドッグフードで十分だが、夏場、食欲がなくなたら、肉や魚、野菜などをあげるのもよい。
ブラシッングは毎日が好ましいが、少なくとも3日に一度はしてあげたい。最低でも1週間に一度は欠かせない。最初に毛並みに逆らうようにとかし、最後に整えるのがコツ。
また、子犬のうちは毎日5分ぐらいかけてブラシに慣れさせるのが肝心。シャンプーは月に1回ぐらいでよい。
もともと労働犬の血を引く犬なので、毎日運動をさせてあげた方がいい。いつでも自由に遊べる場所があればベストだが、そういった場所がないときは、毎朝夕に15~30分の散歩を。
暑さに弱い犬種なので、夏場の暑い時間帯は避けよう。