金色に輝く優雅な姿が人気のゴールデン・レトリーバーだが、じつは正確な原産国はいまだに特定できていない。
一説によれば、イギリスのブライトンで興行を行なっていたロシア・サーカス団のイヌという話がある。当時、「ロシアン・トラッカー(ロシアの追跡犬)」というおかしな名前で呼ばれていたイヌで、これがゴールデン・レトリーバーではないかといわれているが、正確なことはわかっていない。
明確な記録が残っているのは1865年からで、スコットランドのインバネス州に住むツイードマウス卿が、ウェイビー・コーテッド・レトリーバーから生まれた黄色いイヌを購入。このイヌをさらに狩りに適した犬種にするために、ブラック・ハウンドやウォーター・スパニエルなどとの交配を進めた。その結果として生まれたのが、現在のこの犬種の祖先とされている。
19世紀末ごろには、イングランド全域でかなり有名になり、20世紀に入ったばかりの1904年、イングランドで開かれたフィールド・トライアルで初めて優勝。1908年にはクリスタル・パレス・ショーでデビューしている。その5年後、イギリスのケンネル・クラブに純血種として公認され、ゴールデン・レトリーバーという名前に統一されたのは1920年のことだという。
また、1890年ごろに、アメリカとカナダにゴールデン・レトリーバーがいたことが確認されている。これはアメリカに旅行に出かけたイギリス人の“お供”だったようだ。1930年代からはアメリカ各地でも本格的に広まり始め、主に狩猟犬として注目を集めた。
1977年、AKC(アメリカン・ケンネル・クラブ)オビーディアンス・チャンピオンシップが初めて設けられた際に、栄光を勝ち取ったのが3頭ともゴールデン・レトリーバーだったため、以来、加速度的に人気を広めた。
「レトリーブ」とは英語で回収するという意味。そもそも主人が撃った水鳥を素早く回収するのを目的に育種されたイヌで、水陸どこでも自由に動き回れる。水泳が得意で、体を覆う被毛は冷たい水の中でも耐えられるようになっている。そしてもちろん、鋭い嗅覚の持ち主でもある。
たいへん利口で、おだやかでおとなしい性格。猟犬として育種されたため、飼い主への忠誠心に満ちている。しかも忍耐強く、子供にイタズラなどされてもじっと我慢できる賢いイヌだ。
よく食べるイヌなので、子犬のころは胃の負担にならないように、3~4回に分けて子犬用のドッグフードを与える。そしてだいたい4カ月目あたりから成犬用のドックフードに切り替え、2食にする。太りやすい体質なので、食事に気を使ってやり、野菜を混ぜて与えるのもよい。
シャンプーは2週間から1カ月に1回ぐらいのペースで。また、室内で飼う場合は、抜け毛防止のためにも毎日のブラッシングは欠かせない。
毎日、十分な運動が必要。散歩は1日8キロぐらい行ないたい。また回収能力を生かせるボール遊びや水泳など、レトリーバー犬本来の運動能力を満足させるための遊びもとりいれたい。