常に人気犬のランキングでは上位に位置する純白の愛玩犬マルチーズ。その歴史は非常に古く、人間とのかかわりは3000年以上も昔から続いているといわれる。
発祥地については、海洋貿易を生業としていたフェニキア人がアジアからマルタ島に 運んだ犬が祖先となった、というのが定説。だが、紀元前13世紀のエジプトの遺跡からも、よく似た彫像が発見されている。 また、紀元前500年頃のギリシャの物語の中にも「マルタの白いイヌ」として登場し、当時すでにペットとしてかわいがられていたことがうかがわれる。 そして紀元前55年、ローマ軍とともにイギリスに上陸し、以来、ヨーロッパの女性たちの心をとらえることとなった。
中世の貴族たちの間では、コンパニオン・ドックとして広まり、栄華を極めた16世紀のフランスの宮廷でも、マルチーズはサロンに華を添えていた。19世紀に入るとマルタ島はイギリス領となり、当時の君主、ビクトリア女王もこのイヌに魅了され、イギリスでも大流行した。
その後、アメリカのショーで初出展されたのは1877年のこと。1888年にアメリカン・ ケンネル・クラブに認可されている。
頭から足まで、絹糸のような艶やかな純白の長毛に包まれているのが魅力。ボディはコンパクトで、引き締まっている。
エレガントな外見とは裏腹に、忠実でたくましいイヌ。小柄だが恐れ知らず。また、一方では元気に振る舞い、活発で遊び好きな面も多く見せる。
ドッグフードが中心。子犬の頃はドライフードを水で柔らかくして1日数回。 成犬になってからは1日2回が目安。また、美しい毛艶を保つために、紅花油で炒めた内臓や、肉、野菜など、植物性の油を加えて与えるといいだろう。
美しい毛並みを維持していくには、やはり毎日のブラッシングが重要。子犬のうちから、コームでのブラッシングに慣れさせ、最初は短い時間で行い、イヌがいやがったら無理強いはしないこと。被毛は非常に細いので、無理に引っ張らないように気を付ける。また、白毛犬はどうしても汚れが目立つので、つい頻繁にシャンプーしがちだが、これは艶を失わせることになるため逆効果。ペットショップなどの指示に従い、適正な間隔を保って行なうようにしたい。
マルチーズは抱きイヌなので、それほど多くの運動は必要としないが、1日2回ぐらいは外気にふれさせ、日光浴をさせてあげるのがベスト。また、複数で飼っている場合は、じゃれ合っているだけでもいい運動になるので、それほど運動に対して神経質になる必要はない。