はっきりとした起源はいまだにわかっていないが、1860年ごろにロシア西北部のアーケンジェルから商業船に乗せられて、イギリスに連れてこられたとされている。当時はまだ名前が定まっておらず、知られているだけでも、アーケンジェル、フォーリンブルー、スパニッシュブルー、マルティーズなどの名前で呼ばれていた。
その後、1895年のキャットショーにブルーとして出展。ブルーとはネコの世界独自の用語で、実際は“灰色の毛色を持ったネコ”をこう呼び、ロシアン・ブルーも当時はまだほかのブルーのネコと一緒に扱われていた。
独立した品種として区別されるようになったのは1912年のことで、ブリティッシ ュブルーからクラス分けされ、ロシアン・ブルーとなった。
このネコの人気は第2次世界大戦前まではたいへん高かったが、他のネコ同様、戦時中にほとんど絶滅してしまった。
現在、ロシアン・ブルーがあるのは、イギリスのひとりのブリーダーによって守られた繁殖用のネコのおかげだ。ただ、そのブリーダーの手許に生き残ったロシアン・ブルーの目はオレンジで、体型も今より丸かった。
1940年から1950年ぐらいにかけて、スカンジナビアのブリーダー達はロシアン・ブルーとシャムの交配を盛んに進めた。その結果、細長い体型で、目の色はグリーンというオリジナルとはまったく異なるロシアン・ブルーが増えていった。
そのことに心を痛めたイギリスのブリーダーたちは、初期のロシアン・ブルーに戻すためのブリーディングプログラムを作成し、今日に至っている。
ブルーというよりはグレーの被毛がなんといっても最大の特徴。短くて絹のような柔らかな手触り。体は細いものの、被毛が密に生えているためそうは見えない。そして、グリーンの目も特徴のひとつといえる。
とても丈夫なネコで飼いやすい。非常におとなしくめったに鳴かず、鳴いたとしても声が小さいので気付かないことが多い。人見知りが激しいネコで、見知らぬ人にはおびえやすい傾向がある。だが、一度覚えた飼い主には献身的でよくなつく。雌は子育ての面倒 をよくみるよい母親で、子育ても安心していられる。